“カテリーナの森に
劇場をつくる”
木を育て、森と生き、音をつくり、
奏でるカテリーナ古楽器研究所。
母家である築129年の古民家を多くの人と共有する空間として
劇場へと生まれ変わらせ、建物を遺したい。
音をつくり奏でる場、人が育つ場、
文化の交流地点になりうるコクーン劇場を構想し、
実現に向けて歩み出します。
森の劇場
「CATHERINA music COCOON」への構想
東京に工房を構えていたカテリーナ古楽器研究所が、より土に近い暮らしを求めて全国の旅をはじめ、国東半島の付け根に位置する山香町のこの地に出会い31年の時が経ちました。田圃に囲まれた一軒の建物に、故松本公博は惹かれ一家で移住を決めました。
古楽器の製作を暮らしの中心に置き、四季の農事、楽器作りのワークショップなどをカテリーナの森で行ってきました。
明治27年に建てられた母屋(主屋)は、暮らしの時を経ていよいよ大規模な改修を予定しています。改めてこの場の持つ意味合いを考えた結果、建物を残し再生をするべきではないかという想いに至り劇場という次なる形へと作り上げて行くことを構想。
母屋の建物は、大黒柱や恵比寿柱、大きな梁や手斧で仕上げられた桁など、今の技術や材ではそう簡単に作り得ることが出来ない貴重な建築手法が施されています。素晴らしい母体を残しつつ、土に還る建物を目指して、改修作業をして行く予定です。
歴史的建造物の保存、再生、そして活用への道を描きます。
描いた見取り図
1991年。経済を中心とした世の中にあって故松本公博は、楽器作りの場として土に近い暮らしを求め、東京から山香へと家族移住をしました。
一度姿を消した古楽器の研究・製作に想像力を与える環境として出逢ったこの地では、農と森の暮らしを大切にし、二代にわたる稀な古楽器製作を続けてきました。
森には工房があり、楽器をつくる人や家具を作る人、
鍛冶打ちをする人。パンを焼く人。
奏でる音が静寂の中で鳴り響く。
田では稲作が行われ、小川が流れ、木々が育つ。
子供達は森で木登り、虫取り、かくれんぼ。
子ども達の笑い声が溢れ
西は夕方の日が長いから遅くまで遊べるね。
そんな見取り図を描いてから30年以上の月日が経ちました。振り返ると、心に思い描いていた景色が日常になっていることに気づきます。そして、それはもう次の世代に繋がって行く段階に入っていると感じています。
次の物語へと…
劇場「CATHERINA music COCOON」(仮)
この母屋の空間は今後劇場へと生まれ変わって行く予定です。
ここでいう劇場とは、公演だけでなく、多目的に開かれたオープンスペース(複合施設)
たとえば、そこここに古楽器が散りばめられた空間、ミュージアムショップや食を楽しむ場、
時には季節の保存食をつくり、こどもや大人の実践の場となる。
大人の小学校、子供の大学校、あるいは寺子屋。
現在ある一階6部屋と2つの土間空間をひとつのオープンスペースとし、
二階の梁を見上げる木造の吹き抜けの空間は100人程収容可能な小劇場となり、
国内外からの魅力的な演奏家の表現も展開します。
豊かな時間、講話の時間、学びの時間や空間をより充実させる為、
音楽家や芸術家の表現が守られていく場、子供達の未来を守る場としての劇場化へ
一歩ずつ歩みを進めてまいります。
今後50年、100年続いて行く場づくりの実現のために皆様のご支援を必要としています。
今まで関わってくださっている方達や、いつも応援してくださる皆様、カテリーナ古楽器研究所を見つめてくださっている方、またその繋がりで新たにご縁をいただける皆様と共に
カテリーナの森の劇場をつくって行けたらと願っています。
※今現在劇場の名を仮にCOCOON=繭と呼んでいます。
ここで生み出される楽器や音楽をはじめ、展開してゆく様々な事、芸術や文化が繭に守られるイメージで新たに生まれるこの劇場にコクーン(繭)という名称をつけていますが、それは母のお腹で育ちゆくまだ見ぬ姿に名をつける胎児名に近いものかもしれません。これから劇場が徐々に形を成して姿を見せた時に、ふわりと別なる名称が天から降りてくるのかもしれません。
場所と共に変化してゆく過程をもご注目頂けましたら幸いです。
2023.1.17
カテリーナ古楽器研究所